農業ロボット・ロボット農機の最新事例!
現状の課題と将来性!

2022.12.12

農業ロボットとは

現在の農業の課題

日本の農業において、高齢化と労働力不足は深刻になっています。農林水産省の統計によると、基幹的農業従事者(普段仕事として主に自営農業に従事している者)の数は2022年現在122.6万人であり、2015年の175.7万人と比較しておよそ50万人も減少しています。また、従事者の平均年齢も2021年時点で67.9歳であり、決して若いとは言えません。

本記事では、このような現状を打破すべく注目されている農業ロボットについてご紹介します!

農業ロボットについて

農業ロボットは、高度なセンシング技術、モビリティ技術、ナビゲーション技術を活用し、穀物や野菜、果物などの生産において生じる作業を人間の代わりに代行することができます。次の項目でもご紹介しますが、AIによるデータ分析を活用した農薬散布ロボットや自動収穫ロボットなど、さまざまな製品が注目されています。

市場規模は2030年に1000億ドルに達すると見込まれており、まさにこれからが期待されている産業と言えるでしょう。

(参考:https://www.jacom.or.jp/shizai/news/2022/02/220221-57035.php, https://newscast.jp/news/8097099

最新の農業ロボットのご紹介

現在国内外でさまざまな農業ロボットが研究され、実際に利用されています。実際の現場ではどのようなロボットが何のために使われているのでしょうか?
この項目では実際のロボットの活用例をご紹介します。

国内のロボット

企業
事例1/ レグミン

レグミンの自律走行型農業ロボットは、組込み用コンピューターのほか、カメラや地磁気センサー、GPSなど多数のセンサー類を搭載することで、耕作地の地形や畝の形状を認識し高精度で自律走行することができ、特許(特許第6700500号)を取得しています。自律走行型農業ロボットを使うことで、人が動力噴霧機を用いて1人で作業した場合に1haあたり400分かかるところ、250分まで短縮することができます。

現時点では埼玉県深谷市及び熊谷市で「深谷ねぎ」への農薬散布を対象とした実証を行っており、そのほかブロッコリーにも着手するなど、今後の拡大を目指しています。将来的には日本と作付体系が似ている東南アジア等の海外への展開も視野に入れています。

事例2/ AGRIST

AGRIST株式会社が開発したピーマン自動収穫ロボット「L」の最大の特徴は吊り下げ式の形状です。大きいピーマンのみを選別して、周りの小さいピーマンを残して収穫することができます。「現場を熟知した農家の方の話を聞きながら開発を進めることで、ロボットの移動における課題を吊り上げ式という形で解決できました。」と秦氏は述べています。

二つ目の特徴はロボットのハンドです。「L」は吊り下げ式で移動しながらピーマンを探し、見つけるとAGRISTが自社で開発したハンドでカットし、ロボットのボックスの中にためていきます。一定量たまると、所定の場所のコンテナに放出し、また戻って収穫を続けます。収穫する際はピーマンの茎を回転するベルトで巻き取りながら把持します。このハンドのおかげで吊り下げ式で多少揺れたとしても、ピーマンがベルトに吸い込まれるように入っていくことで安定して収穫することができます。

大学
立命館大学とデンソー、農研機構のコラボ

3者が開発した無人走行型果実収穫ロボットは、自動走行車両を活用した牽引型の収穫ロボットです。2本のアームが果実の収穫を行う仕組みで、収穫した果実は荷台に設置した果実収納コンテナシステムに送られます。コンテナの交換も自動で、人間と同等速度の収穫スピード(11秒/個)を実現しています。

3者は、市販化に向けた取り組みとして、「現地実証試験の継続で安定性や正確性を向上させながら安全に利用できる仕組み作りが必要」とした上で、収穫物の自動積み下ろし機能など周辺技術の開発も示唆しています。
参考:https://smartagri-jp.com/news/2270

北海道大学

北海道大学の野口伸(のぐちのぼる)教授は、遠隔操作可能なロボット農機の実用化に向けた研究をしています。

民間企業や地方自治体と協力しつつドローンによるリモートセンシング技術と、ローカル5G基地局の整備を行うことで、その場に人がいなくても農業ができる社会の実現を目指しています。

将来的には、栽培から消費に至るまでのサプライチェーンを全てビッグデータ化することで、収量のみならず出荷時期、市場価格、消費量まで予測することができ、気候や季節変動などの要素も組み込んでシミュレーションすることができるようになります。

海外のロボット

参考:https://agrijournal.jp/renewableenergy/43611/2/

事例1

Iron Oxでは、AIとロボット技術を活用して個々の農作物に最適化された日光、水、栄養素が与えられるようにしています。これにより、作物の収量と品質を向上させ、栽培から収穫までの期間を短くすることも可能にしています。
生産工場は小規模ながら畑作よりも大きな収量を得ることができています。

事例2

Small Robot Companyの製品であるTOMは農場を自動で走行しながら雑草を検知し、ピンポイントで除草剤を散布することができます。これにより農場で消費する農薬を減らすことができ、トラクターより小型であるため農地にかかる圧力を減らすこともできます。

農業ロボットの課題・将来性

農業ロボットの課題

農業ロボットにはいくつかの課題があります。特に注目されているのは導入コストの高さとスマート農業活用のための人材確保が難しいことです。

導入コストの高さ

農林水産省が公表しているデータでは、10aあたり差分で約3万円の導入コストがかかっているにも関わらず収入の増加は5千円あったというデータが出ており、結果として収益の減少になるケースもありました。
また、標準のトラクターがおよそ1000万円に対して、自動走行の機能が実装されているトラクターは約1400万円かかるなど、初期コストはかなり高額なものになってしまいます。

スマート農業を活用するための人材の確保が難しいこと

また、農業ロボットは購入して終わりではなく、使用に際して特別な機械の操作が必要となる場合もあります。例えばドローンでは使用訓練や飛行手続きが必要であるなど、人出を減らすための農業ロボットであるのに操作するために知識を持った人材が必要になるということが起こってしまいます。

農業ロボットの将来性

課題は残っているものの、今後農業ロボットに期待されることは以下の3つが挙げられます。

作業の自動化

ロボットトラクタ、スマホで操作する水田の水管理システムなどの活用により、作業を自動化し人手を省くことが可能になります。

情報共有の簡易化

位置情報と連動した経営管理アプリの活用により、 作業の記録をデジタル化・自動化し、熟練者でなくても生産活動の主体になることが可能になります。

データの活用

ドローン・衛星によるセンシングデータや気象データの AI解析により、農作物の生育や病虫害を予測し、 高度な農業経営が可能になります。

農業ロボットを導入するには

購入する場合

ロボットトラクターであれば1300万円〜1800万円が標準的な初期費用として必要になります。

レンタルする場合

例えばAGRIST株式会社が提供しているピーマン自動収穫ロボット「L」では初期導入費用150万円に加え、ロボットが収穫したピーマンの出荷額の10%が毎月の手数料として必要になってきます。

国からの補助金・助成金について

導入コストは高額ですが、農林水産省から補助金を受け取ることができ、リスクを低減することができます。
農林水産省が提供している補助金は以下の2つがあります。

  • スマート農業総合推進対策事業費補助金
  • スマート農業総合推進対策事業費地方公共団体補助金

これら2つの補助金は支給する母体が国か地方自治体であるかという違いがありますが、基本的には同じ趣旨にもとづいて運営されている制度と考えられます。
申請においては期間が指定されており、書類の作成も必要となるため早めに準備しておきましょう。また、年度ごと、自治体ごとで内容が異なる場合があるため、申請したいと考えている方は、最新の情報を確認するようにしましょう。

深谷市はスマート農業・アグリテックの社会実装に取り組んでいます

スマート農業・アグリテック企業の集積地を目指す深谷市が実施するDEEP VALLEY では、スマート農業技術の実証実験のためのさまざまな機会を提供しております。
例えば、「深谷市アグリテック導入支援事業補助金」を用意し、導入コストの負担を軽減することで、企業様の販促活動ならびに農家の方々のサービス導入を促進。市内におけるスマート農業・アグリテックサービスの浸透しやすい環境を整えております。
(「深谷市アグリテック導入支援事業補助金」については、こちら

  • 新製品開発のために実証実験をしたいが農地がない
  • 実証実験にどんな農地が適しているかわからない
  • 実証実験だけでなく現場の声を聞いて農家さんとコミュニティを広げたい

といったお悩みを抱えている企業のみなさまにお力添えできますので、ぜひご相談ください。

事例O1

農家目線のフィードバックで
ロボット開発が加速

株式会社レグミン
株式会社レグミン
代表取締役

成勢 卓裕さん、野毛 慶弘さん

DEEP VALLEY Agritech Award 2020
現場導入部門最優秀賞

事例O1

農家目線のフィードバックで
ロボット開発が加速

深谷市での取組前
自社圃場で自律走行型農業ロボットの実証を行っていたため開発スピードは保てましたが、農家や農業法人の目線のフィードバックを十分に得ることができず、改良点の洗い出しに苦労しました。
深谷市での取組後
深谷市で自律走行型農業ロボットの実証を開始してからは深谷市にご紹介いただいた農家や農業法人からの多数のフィードバックをいただき、改良点の洗い出しがスムーズになり深谷市での取組前よりもロボット開発が加速しました。
深谷市からは農家や農業法人のみならず、埼玉県の農林振興センターや農業協同組合、資材店など様々な業種の方々をご紹介いただき多方面からの協力を得ることができました。
また、レグミン社主催のロボット見学会実施の際にも、農家や農業法人などへの声掛けにご協力いただけたことにより盛会となりました。