【問題点まで徹底解説】バイオ炭を使った土壌改良と注目される背景

【問題点まで徹底解説】バイオ炭を使った土壌改良と注目される背景 【問題点まで徹底解説】バイオ炭を使った土壌改良と注目される背景

2024.03.25

近年、持続可能な農業に関してにわかに注目を集めている「バイオ炭」。環境に配慮し、さらに農業やビジネスの効率と収益性を向上させる可能性を秘めています。しかし、バイオ炭の製造から利用、そしてビジネスの可能性まで、詳しい情報を知ることは意外と難しいもの。

本記事では、農業経営者や環境コンサルタントの皆様を対象に、バイオ炭の現在地点をご紹介します。

1.はじめに。バイオ炭とは?

バイオ炭の定義

バイオ炭とは、生物質を高温で焼くことにより得られる炭素主体の固体で、木炭や竹炭のことです。具体的な定義としては、「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超えの温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」とされています。
化学肥料の利用が普及する中で、従来の農業で利用されていたくん炭や木灰などの炭化物は土壌改良剤としての存在感が薄まっていましたが、水面下で研究は続けられ、やがて土壌に生息する複数の有用微生物が炭を介して植物根に共生し、その成長を促進する事実が明らかにされると農業資材として復活。

また、近年では有機農業や地球温暖化対策を手助けするものとして注目が集まっています。製造過程で生じる温室効果ガスの排出量が少ないためです。
バイオ炭の原料となる木材や竹等に含まれる炭素は、そのままにしておくと微生物の活動等により分解され、二酸化炭素として大気中に放出されてしまいます。しかし、木材や竹などを炭化し、バイオ炭として土壌に施用することで、その炭素を土壌に閉じ込め(炭素貯留)、大気中への放出を減らすことが可能になるのです。

バイオ炭が注目される背景

バイオ炭が注目される背景には主に二つあります。まず一つ目は、地球温暖化対策としてのバイオ炭です。バイオ炭はCO2の固定が可能で、炭になることで大気中から二酸化炭素を抜くことができます。これは、地球温暖化を抑える一助となります。
二つ目は、土壌改良としてのバイオ炭です。バイオ炭を土壌に混ぜ込むことで、保水性が向上し、肥沃な土壌を作り出すことが可能となります。これにより、作物の収量向上や健康な成長を促すことが期待できます。

2.バイオ炭と木炭は違う?

農林水産省の定義によると木炭はバイオ炭の1種に数えられており、木炭を肥料とした場合も肥沃化や保水性向上、さらには土壌への炭素貯留といった効果があります。
あえて違いを上げるとすると、「原料」です。木炭の原料は木材ですが、バイオ炭は木材・竹・家畜糞尿・もみ殻・下水汚泥など多種多様となっています。

3.バイオ炭の問題点と対策

バイオ炭の利用には、いくつかの問題点が存在します。

(1)施用量に試行錯誤

適切な施用量が絶対条件です。バイオ炭が多すぎると、土壌の酸度が変化し、作物の生育に悪影響を及ぼす恐れがあります。また、少なすぎても効果が半減します。適切な施用量は、土壌の状況や作物の種類によります。

(2)品質の不安定さ

バイオ炭には品質差があります。原料の種類や製造過程により、バイオ炭の性質は大きく変わります。これらの要素が肥料効果に大きく影響し、結果として作物の生育に差が出ます。

(3)費用対効果が必ずしもよくない

バイオ炭を大量に使用する場合、コストが問題となります。経済的な負担を考慮し、効果的な使用方法を探る必要があります。

これらの問題点に対しては、適切な施用量の見極め、品質の高いバイオ炭の選択、そして費用対効果を考慮した使用方法を採ることが求められます。

4.バイオ炭を活用するメリットと収益化の可能性

バイオ炭の活用は、さまざまなメリットと収益化の可能性を秘めています。

(1)J-クレジットの活用

バイオ炭製造はCO2排出量の削減に寄与します。これにより、J-クレジットという制度を利用し、CO2削減量を金額化することができます。この収益化の可能性は、事業者や自治体にとって大きなメリットとなります。

(2)エコブランドとしての活用

環境負荷の低減は現代社会で重視されています。バイオ炭製造・利用はエコブランドの一環として、企業の強みになり得ます。

(3)農業収益の向上

バイオ炭を土壌に混ぜ込むことで肥料として利用でき、作物の生育改善につながります。これにより、農業収益の向上が期待できます。

以上のように、バイオ炭の活用はメリットだけでなくビジネスチャンスにもつながるのです。

5.バイオ炭利用の今後と展望

バイオ炭の利用は、これからの環境問題に対するソリューションとして期待されています。特に、炭素の固定化や土壌の改良といった効果が科学的に証明されつつあり、その可能性は広がりを見せています。

また、バイオ炭の生産は木質バイオマスの有効利用となるため、森林資源の持続可能な利用にも寄与すると考えられます。さらに、バイオ炭を製造する過程で発生する熱を利用した発電など、エネルギーの効率的な利用が可能となり、カーボンニュートラルな社会への移行を支える一因となるでしょう。

ただし、バイオ炭の大規模な生産・利用には、さまざまな課題が存在します。これら課題の克服が今後の課題となりますが、バイオ炭のポテンシャルを最大限に引き出すためには、さらなる研究と技術開発が必要です。

これらを踏まえ、バイオ炭の利用拡大のための方策やその可能性についての議論を深めていくことが、持続可能な社会作りへの重要なステップとなるでしょう。

6.まとめ

本稿では、バイオ炭の定義や特性、作り方、そしてバイオ炭が注目される背景について詳しく解説しました。さらに、バイオ炭を活用した土壌改良の効果や問題点、対策についても触れました。バイオ炭は、土壌改良や炭素固定などの観点から非常に有用な資源である一方で、その生産や利用には課題が存在します。しかし、適切な対策や取り組みを進めることで、これらの問題を克服し、より持続可能な社会の構築に寄与する可能性があります。また、木炭を肥料として利用することも、バイオ炭の活用方法の一つとして展望されています。最後に、バイオ炭の利用が進むことで、新たなビジネスチャンスや収益化の可能性も広がっていきます。これからもバイオ炭を中心とした研究や技術開発の動向に注目していきましょう。