DEEP VALLEY Agritech Award 2023エントリーに向けた現地視察会を開催しました!

2023.08.10

2023年8月1日、「DEEP VALLEY Agritech Award 2023」に向けた現地視察会を開催しました。エントリーを検討している参加者がツアー形式で農作物栽培からパック梱包・販売までを行う農園や、過去受賞企業がアグリテックサービスを実施する圃場を巡り、DEEP VALLEYの取組と現状、現場の声などをご紹介しました。

視察会の様子

マルコーフーズグループの菜根譚農園で、生産から流通までの一貫体制を見学

まず初めに訪れたのは深谷市・豊里地区にある、食品加工会社「マルコーフーズ」のグループ会社である「菜根譚農園」です。菜根譚農園では、ベビーリーフを主力とした葉物野菜のハウス栽培をメインに様々な農産物を生産し、パッキングや流通まで一貫した体制による安心で安全な野菜を提供しています。また、DEEP VALLEY Agritech Awardで最優秀賞を受賞した株式会社Rootとは定期的に意見交換をしながら、アグリテック技術の精度向上を目指し共に取り組むなど、DEEP VALLEYの取組にもご理解とご協力をいただいています。

菜根譚農園の村岡 卓 部長より、実際の業務について収穫したベビーリーフを加工後に機械でパッキングする工程を目の前にしてご説明いただいた後、大型の保管冷蔵庫も見学しました。

村岡部長は「収穫したベビーリーフから茎などを取り除き葉の部分だけにする作業をした後、計量とパッキングを機械が行います。ただし葉を計量するために流し込む作業は人の手で補充する必要があり、機械自体も十数年使っていることから所々ガタが来ていて、だましだまし使っている状況です。計量する機械部分とパッキングする機械は別会社の物なので、噛み合わせなどは工夫しています」と、機械化されてもなお人の手による作業があることや、機械自体も工夫と日頃の保守が必要であることを説明しました。

視察会の様子

機械設備の導入について「この先人件費はもっと高くなっていく。それに対応するために、良いと思える設備投資などは前向きにやっていきたい。古くなってダメなものは新しくしていき、作業を効率化できるように良いと思えるものはお金をかけても取り入れていきたい」と村岡部長は語ります。
「例えばAIやセンサー、カメラの活用も興味はあります。パッキングの際に、どうしても雑草が入ってしまうリスクや虫などが入るリスクがある中で、それらが技術で分かるようになれば負担は減るし、異物を取り除くための平準化はとても欲しいし助かります」と、作業の更なる高度化や改善を技術に期待しています。

マルコーフーズの村岡 正巳会長は「この数年間でのAgritech Awardの取組でいくつかのアイデアを計画として出してもらっている。いろんな機械を作ってもらって、第一次産業という利益が薄い農業分野でも活躍し、現場に合うものが出てくるとありがたい。深谷のみならず日本の農業が前を向いてくれるような技術が出てくるとうれしい。」とアグリテックとそれがもたらす現場改革、さらには収益構造の変革への期待を語りました。

馬場ファミリー農園で最優秀賞受賞企業 株式会社レグミンの農業ロボットによるサービス見学

2つ目の視察現場は、深谷市・藤沢地区にある馬場ファミリー農園です。ここではDEEP VALLEY Agritech Award 2020 現場導入部門 最優秀賞を受賞した株式会社レグミンによる「自律走行型ロボットによる農薬散布」のサービス実施を実演していただき、アワード受賞企業の実証状況とその後の深谷市の関係やフォロー体制についてご説明しました。

視察会の様子

馬場ファミリー農園は大規模な露地野菜の生産を行っており、ねぎを中心に、ブロッコリー、とうもろこし、枝豆や芋類、米など、多くの品種を育てています。生産だけではなく、深谷ねぎを使用したねぎ焼酎等をはじめとした六次産業化にも取り組んでおり、深谷市の観光回遊の取組である「ベジタブルテーマパーク」にも参画し、四季を通じて収穫体験などのコンテンツも実施しています。
レグミンは最優秀賞を受賞後に深谷市内で実証事業を進め、「令和3年度 スマート農業実証プロジェクト」と「令和5年度 戦略的スマート農業技術等の開発・改良」に採択されるなど、アワード受賞をきっかけとして技術の加速的展開を見せ、現在は農薬散布の作業受託を有償サービスとして本格的に開始しています。

視察会の様子

レグミンは元々静岡県で小松菜を作りながら農業ロボットを制作していましたが、ねぎやブロッコリー、花卉や畜産などの一次産業が強い深谷とAgritech Awardをきっかけに関わり、深谷市に拠点を移した経緯があります。
レグミンの野毛さんは「深谷ではスマート農業関連の国の事業が3件進行しているが、これは非常にレアケースで、農水省の人たちもよく視察に来ます。深谷は露地もハウスもあるので、いろんなデータが取れるし試行錯誤もできるので非常に成長ができる場所です」と語ります。
また、取組の進行についても「市が農家さんに呼びかけてくれて、ロボットの体験会を行ったことで認知が広がりました。そこから実際に農薬散布のサービスを試してくれる人が出てきて、何回も繰り返し会うことで信頼関係が生まれ、現場から上がるいろんな声に答えるために新技術・サービスの開発を継続して行っています。なにより深谷の人は優しい。ロボットにも興味を持ってくれるし、農家さん以外の資材屋さんや農協なども協力的です」と語り、市のサポート体制や現場に通うことで新たな課題や技術改良の機会を得ていることを参加者に伝えました。

馬場ファミリー農園の馬場さんはレグミンのロボットについて、「ロボットができる前は手作業でやっていました。ねぎの病気は夏の暑い時期に気を付けなければならないので防除が大変。一番手間がかかり、暑い時期のきつい防除作業をロボットが代行してくれるのは本当に助かる。」と語り、アグリテックがもたらす農作業の軽減を実感しています。

視察会の様子

そもそも馬場さんがレグミンのロボットを活用するきっかけは何だったのか、聞いてみました。
「やはり良い農産物を長く作りたいという思いです。仕事を長く続けるためには体が無理してはいけない。ロボットによる省力化は楽ができるということと、その分他に作業ができるので耕作面積を広げられることもできる。ねぎの単価は下がっていないが、生産に必要な様々なコストは上がり続けている。それを回収するためには、収量を増やしていくのも一つの手段だと思います。ロボット導入はその手助けになる」
レグミンのロボットを眺めながら、馬場さんは力強く語りました。

視察会を通じて

視察会で現場を巡り、参加者からは「夏の暑い環境を体験することができた。現場を知る第一歩だと思う」という声や、「技術により作業が楽になることや、その後の付加価値づけというところまでを、どうアイデアにするか参考になった」という声が挙がりました。

視察会を企画した深谷市役所 産業ブランド推進室の担当者はイベントを通じ、「農業の現場感に触れ、アワードでの提案に活かしていただきたいとの思いで今回の視察会を企画しました。机の上で考えることと、実際のフィールドでやってみることは全く違うので、現場での積み重ねが重要です。現場に出ることで気付きがあり、人との繋がりも生まれます。今回デモンストレーションをしていただいたレグミン社をはじめ、現場で受け入れられているアグリテックは、みな現場を大事にしています。深谷市では、みなさんの実証実験の実施などのための伴走支援を行って参りますので、みなさまからの提案をお待ちしております」と語りました。

DEEP VALLEY Agritech Award 2023のエントリー〆切は2023年8月18日(金)17時です。
今年のAgritech Awardは、農産物全体としての付加価値向上を目指し、農業の生産現場で活躍する技術・アイデアと、「農と食」のフードバリューチェーン全体のビジネスモデル・アイデアを募集領域とし、深谷市として「農と食の産業」の強化につながる提案をお待ちしています。
「農業の生産現場を変革したい」「地方創生に貢献したい」「新たなビジネスモデルを発信したい」「産地と流通が協力したビジネスを実現したい」など、ベンチャー精神あふれる皆さんのエントリーをお待ちしています。