第3回目を迎え一層充実。「DEEP VALLEY Agritech Award 2021」表彰式を開催

2022.01.5

テクノロジーによる農業の課題解決を目的としたビジネスコンテスト「DEEP VALLEY Agritech Award 2021」の表彰式が、2021年12月21日(火)、深谷市役所で行われました。最終審査まで勝ち進んだファイナリストの中から最優秀賞に輝いた企業に、深谷市の小島進市長よりトロフィーが手渡されました。

授賞式

事業出資交渉権を争うファイナリストが集結

「DEEP VALLEY Agritech Award(ディープバレー・アグリテックアワード)」は、儲かる農業都市の実現を目指す深谷市が、市内の農家が抱える課題を解決する優れた技術(アグリテック)を表彰する取り組みです。去る10月29日(金)に最終審査が行われ、2021年度の「未来創造部門」と「現場導入部門」の最優秀賞が決定しました。

表彰式の会場には、審査員、DEEP VALLEY推進パートナー(深谷商工会議所、ふかや市商工会、埼玉工業大学)、深谷市議会議員、昨年度の受賞企業、報道関係者らが来場しました。式の開会にあたって、深谷市の小島市長は「農業を中心とするまちづくりに市民や市議会の方々に理解をいただき、アグリテックアワードを始めて今年で3回目、回を重ねるたびに充実しているので、みなさまと問題を共有しながら前へ進めたい」と挨拶しました。

授賞式

続く協賛企業の挨拶では、シタラ興産代表取締役の設楽竜也さんが「イノベーターのみなさんにこれからも日本中から深谷市に集まり、日本の農業を変えてほしい」とメッセージ。日本クラウドキャピタルのマネージャー、岡宗一郎さんは「受賞された方々が深谷市、日本、世界の農業を変えていく存在になることに少しでもお役に立てれば」と参画の思いを述べました。

壇上で「未来創造部門」と「現場導入部門」の各部門のファイナリスト6社・団体が紹介されると、会場に大きな拍手が起こりました。

授賞式

各賞を発表!最優秀賞の2社を深谷市長が激励

視聴者投票によるオーディエンス賞には、株式会社井上寅雄農園と株式会社Rootが選ばれました。オンライン営農支援指導サービス「アグティ」を提案した井上寅雄農園の井上隆太郎さんは、「いろんな方に使ってもらえるシステムにしていきたい」と抱負を述べました。スマートグラス用AR(拡張現実)農作業補助アプリを提案したRootの岸圭介さんは、「深谷市の農業者の方にかっこよく着けていただいて良いものを作っていきたい」と述べました。

協賛企業賞は、シタラ興産賞を井上寅雄農園がダブル受賞。日本クラウドキャピタル賞は、卓上組み合わせ計量機「テーブルコンビ」の株式会社オーケープランニングが受賞。波多江満さんが「深谷特有の作物と出荷形態にマッチしたデバイスとソフトウェア開発で農業の発展に貢献したい」と述べました。

最後は各部門の最優秀賞の発表です。「未来創造部門」のinaho株式会社、「現場導入部門」のRootに、小島市長より深谷市の事業への出資交渉権とトロフィー、副賞の深谷ねぎ10kgが授与されました。

ロボットを活用した新たな作型によるアスパラガス産地創出事業を提案したinahoの菱木豊さんは、「深谷市は尊敬する渋沢栄一翁の生誕地。我々は野菜収穫ロボットによる日本の新しい産業とイノベーションを深谷の地から生み出していきたい」と抱負を語ると、小島市長は「この深谷で最初に何かをやるチャレンジ精神を感じ取って頑張ってください」と熱のこもった言葉を贈りました。

授賞式

Rootはオーディエンス賞とダブル受賞。岸さんが「農業でスマートグラスを使った事業開発はほとんど例がないので、ぜひ深谷市と一緒にやってみたい」と話すと、小島市長は「来年の今頃には深谷市のみなさんがスマートグラスを着けて農業をしている姿が想像できます。ぜひ成功させましょう」と激励で締めくくりました。

授賞式

昨年度の最優秀賞企業が進捗発表、次の挑戦者にも期待

授賞の後には、2020年度の最優秀賞2社から現在の事業の状況が発表されました。

「現場導入部門」の株式会社レグミンの成勢卓裕さんが、ネギ農薬散布ロボットの状況について、本年度(2021)から2年間にわたり、深谷市、JAふかや等との共同事業で農林水産省のスマート農業実証プロジェクトに採択されたことを報告。農薬散布ロボットに加えて、畑を監視するリモートカメラを活用しながら農薬散布を提供する事業の実証を進めています。オペレーションの改善等により散布時間を短縮することを来年度の目標に、「引き続き深谷市の農業者のみなさんのお役に立てるように頑張っていきたい」と述べました。

授賞式

「未来想像部門」の株式会社AGRISTの高橋慶彦さんは宮崎県からリモートで参加。自動収穫ロボットによる農業課題の解決の取り組みを発表しました。宮崎県で先行しているピーマンはサービス受付を開始。資金調達に関してENEOSと資本業務提携を結び、カーボンニュートラルを目指しながら推進していくことを報告。さらに収穫ロボットでデータ収集を行い遠隔での圃場管理、将来的には収量予測や病害虫の早期発見を視野に入れています。自ら実績を作ろうと農業法人を立ち上げ、「収穫ロボットをキュウリの分野で実装できるように開発を推進していきます」と展望を述べました。

授賞式

昨年の授賞式から約1年、最優秀賞企業の事業化へ向けた取り組みが加速する中、今回の受賞者の深谷市での挑戦に期待が膨らみます。

授賞式