プレエントリー応募者向けの現地視察会を開催!

2022.06.28

2022年6月21日、「DEEP VALLEY Agritech Award 2022」にプレエントリーした応募者を対象とした現地視察会を開催しました。アワードへの本エントリーを前に深谷市内の直売所や圃場、過去受賞企業の実証実験の様子などをツアー形式で巡り、DEEP VALLEYの今と取組をご紹介しました。

視察会

JA花園 農産物直売所で深谷市の農業について意見を交わす

まず初めに訪れたのは関越自動車道 花園ICのすぐそばにある「JA花園 農産物直売所」です。こちらでは生産者直売によるお手頃価格の新鮮野菜や数多くの花木を販売しています。朝から県外ナンバーの車も多く訪れる大人気の直売所です。

JA花園 農産物直売所で深谷市の農業について意見を交わす



「DEEP VALLEY Agritech Award 2022」最終審査員の一人でもある酒井俊秀組合長にご案内いただき、JA花園として感じている農業界の現状や課題について、生産から流通を支える立場としてご説明いただきました。
酒井組合長は「アグリテックによって、農作業が楽になり、高齢者もより長く農業ができる環境を作ることを期待したい。労働力の軽減は新規就農者への手助けにもなる。土地の将来持続性も考えると、今農業を行っている人がより長く、そして新しい農家が作業しやすい技術が求められている。『売り』を作るための技術も今後大きな課題になっていく。」と後継者問題や販路方法など、生産から流通まで携わる直売所ならではの課題を参加者に訴えました。

参加者からは世界情勢を含めた農業界の現状や、直売所の運営についてなど幅広い質問がされ、多角的な農業課題の深掘りをすることができました。

深谷市の農業現場を知るために力丸農園へ

次に訪れたのは深谷市 明戸地区にある「力丸農園」。珍しい西洋野菜、ごぼう等の露地野菜の生産や、ごぼうの6次産業化によるオリジナルブランドを手掛けている力丸敦夫さんと圃場の真ん中で座談会を行いました。

深谷市の農業現場を知るために力丸農園へ



力丸さんはご自身の経験を基にした営農観を参加者と共有し、「新技術を活用するためのコストが見合う時代になっていくはず。秀品率を上げることや、出荷作業を楽にすることなど『農業を安定化するための技術』『手間や時間を減らす技術』が求められている。」と生産者視点でアグリテックに期待することをお話しいただきました。
また、「『農業現場の課題』と『農業界の課題』は似ているようで大きな差がある。『農業現場の課題』がひとつひとつ積み重なって大きくなったものが『農業界の課題』ではないだろうか。小さな『農業現場の課題』を少しでも解決していくことが、農業全体の課題解決になっていくと思う。」と生産現場で感じる小さな悩みの解決こそ、生産者が待っていることだと説明いただきました。

これに応えるかのように参加者からは自身のアイデアや事業を力丸さんに説明し、率直な意見交換をしたことで更に現場理解を深めることができました。
力丸さんは「深谷市はこうしていろいろなサポートで農業を変えていこうとしてる。自分はそれに乗っかっていろいろさせてもらっているが、皆さんの素晴らしいアイデアがここに来ることを待っています。」と参加者へ期待を込めたエールをいただきました。

ファームヤードでの過去アワード受賞企業による実証取組紹介

最後の見学先として、過去アワード受賞企業が実証実験を行っている農業生産法人 有限会社ファームヤードの圃場を訪れました。埼玉県内でも有数の大規模な露地野菜栽培企業であるファームヤードは、総面積71ヘクタールの圃場でネギや小松菜、キャベツなどを生産しています。
ファームヤードでは「DEEP VALLEY Agritech Award 2020」現場導入部門 最優秀賞を受賞した株式会社レグミンによる「自律走行型ロボットによる農薬散布の実証実験」と、「DEEP VALLEY Agritech Award2021」現場導入部門 最優秀賞を受賞した株式会社Rootによる「スマートグラス用AR農作業補助アプリケーションの実証実験」をおこなっています。

ファームヤードでの過去アワード受賞企業による実証取組紹介



ファームヤードの吉岡重明社長は参加者に対し「日本の農業は高齢化や各種経費の高騰によって、数年後には終わってしまうのではという危機感がある。ぜひそこに力となるような、生産現場がより農業に集中できるような技術を待っています。」と大規模生産者として感じている思いをお伝えいただきました。
その後実際に実証実験を行っている2社の製品見学を行い、アワード受賞企業の実証状況とその後の深谷市の関係やフォロー体制についてご説明しました。
レグミン社は「スマート農業実証プロジェクト」、Root社は「スマート農業技術の開発・実証・実装プロジェクト」に採択されるなど、アワード受賞をきっかけとして事業の加速的展開を見せています。技術的な質問や取組の動きについて参加者からも質問が飛び交いました。

視察会を通じて

視察会で農業の各現場を巡り、参加者からは「生産者の声はどんな言葉よりも現実的で強く印象に残った。本エントリーの際にしっかり反映したい」と多様な声を聞けたことに満足した様子が見られました。

この視察会を企画した深谷市役所 産業ブランド推進室の福嶋隆宏室長補佐はイベントを通じ、「現場にこそスマート農業、アグリテックで解決すべき課題があります。しっかりと現場の役に立ち、収益を上げることのできるテクノロジーの実現を共に目指しましょう。」と話していました。

「DEEP VALLEY Agritech Award 2022」のエントリー〆切は2022年7月8日(金)17時です。
「農業を変革したい」「地方創生に貢献したい」「新たなビジネスモデルを発信したい」そんなベンチャー精神あふれる皆さんのエントリーをお待ちしています。