農業の未来はない?将来性ある「新しい農業」の形~スマート農業・アグリテックの可能性と課題

農業の未来はない?将来性ある「新しい農業」の形~スマート農業・アグリテックの可能性と課題 農業の未来はない?将来性ある「新しい農業」の形~スマート農業・アグリテックの可能性と課題

2024.03.25

「農業に未来はない」という声が囁かれる中、技術の進化はそのイメージを一新させつつあります。AIやロボティクス、ドローン技術といった先端技術の導入により、農業はこれまでにない速さで進化しています。しかし、新しい技術がもたらすポジティブな影響と同時に、未来の農業が直面するであろう課題も存在します。

この記事では、農業の未来における技術の進歩、その影響、そして農業技術者としてのキャリアの可能性について深掘りしていきます。先見の明を持ち、技術に情熱を感じるあなたに、農業の新しい未来を感じていただきたいと思います。

1.はじめに

農業の将来性の概観

近年、農業の未来は「ない」との思い込みが広まりつつあります。しかし、その見方は一面的で、これから伸びる可能性を秘めた新しい農業の形が存在します。

農業の未来性を理解するため、現状の課題と可能性を簡潔に示しました。

現状の課題 可能性
農業人口の減少 スマート農業による効率化
価格競争の激化 ブランド化による高付加価値化
土地利用の制約 都市型農業と6次産業化・農山漁村イノベーションの進展

このように、確かに厳しい課題が存在します。しかし、それらを乗り越えたその先には、新しい農業の形が広がっています。スマート農業や都市型農業、6次産業化など、これまでとは異なるアプローチで農業を進化させていくことこそが求められているのです。

スマート農業・アグリテックの可能性と課題

スマート農業は、ICTやロボット技術などの先端技術を活用した農業のことを指し、この技術の進歩は農業の未来像を大きく塗り替える可能性を秘めています。例えば、ドローンによる遠隔監視や自動化技術による労働負荷の軽減など、スマート農業によって生産性向上や作業効率化が期待できます。

しかし、一方で課題も存在します。技術導入には大きなコストがかかる点、そして専門的な知識を必要とするため、教育・研修の充実が求められます。

また、機械化・デジタル化に伴うセキュリティの問題も無視できません。これらの課題を解決し、スマート農業の全面的な導入が実現することで、農業の未来はさらに明るいものになるでしょう。

2.農業の現状と課題

日本の農業は、農業人口の減少と大規模化・法人化が進行中です。総務省の人口推計によると、近年、高齢化と共に農業従事者の数は大幅に減少。これは、農業が労働集約的であるという性質と、後継者問題を背景にしています。

一方、大規模な経営体や法人が増える一方で、生産地のブランド力を活かした地域振興という新たな動きも見られます。しかし、世界的な自由貿易の進展、特にTPPへの参加によって、国内農産物は厳しい価格競争に晒されることとなります。

これらの現状と課題を踏まえた上で、農業の未来像を描くことが求められています。スマート農業やアグリテックの導入、都市型農業や6次産業化の進展は、これからの農業の可能性を示しています。

農業人口の減少と大規模化・法人化

近年、日本の農業人口は急速に減少しています。農林水産省の「農業労働力に関する統計」の結果では、2005年(平成27年)時点では224.1万人であった基幹的農業従事者数は、2015年(平成27年)時点では175.7万人、2020年(令和2年)時点では136.3万人、そして、2023年(令和5年)の推概数値では 116.4万人にまで減少する見込みです。

2020年の基幹的農業従事者数のうち65歳以上の階層は全体の70%(94.9万人)を占めています。

この状況を受けて、農地の大規模化や法人化が進んでいます。大規模化により一定の経済規模を確保し、法人化によって労働力の確保や経営の効率化を目指す動きです。新規就農者や法人による取り組みも見られ、新たな価値創造や地域活性化に貢献しています。

しかし、大規模化・法人化には課題もあります。土地利用の最適化や経営リスクの増大、地域との連携などが求められるため、これからの農業はより戦略的な思考と柔軟な対応が求められるでしょう。

需要と供給の不一致

農業により生み出される特産物の需要と供給が一致しない点も問題です。特定の地域で大量に作られる特産物は、その地域だけで消費されることは少なく、他地域への出荷が必要です。しかし、出荷先の需要が予測できないと、供給過剰に陥り、価格の低下を招く恐れがあります。

TPPによる価格競争とブランド化

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の進展は、農業にも大きな影響を与えています。海外からの安価な農産物の流入による価格競争は農業経営を厳しくしています。その一方で、日本の農産物は品質の高さや安全性が評価され、ブランド化が進んでいます。

しかし、ブランド化は容易な道ではありません。産地や品種などの特性を活かし、消費者にその価値を伝え、理解してもらうための取り組みが求められます。このような取り組みにより、農業の未来を切り開く道筋が見えてきます。

3.農業の未来像:スマート農業・アグリテック

近年、農業にも先端技術が導入され、新たな可能性が広がっています。その一つが「スマート農業」です。ICTやロボット技術を活用し、作業効率の向上や品質管理を行うことで、人手不足や耕作放棄地の問題を解消します。また、アグリテックという言葉も注目を集めています。これは、Agri(農業)とTech(技術)を組み合わせたもので、技術革新により農業が進化することを示しています。

センサーからの情報をクラウド上に集め、一元管理することで農作物の生育状況をリアルタイムで確認できるようになっています。ドローンによる適時な水分・肥料管理や病気・害虫の早期発見などが可能となることが期待されています。

これらの先端技術は、農業の未来を大きく変える可能性を秘めており、農業の持続可能性を高める大きな要素となるでしょう。

詳しくは 以下の記事で紹介しているので、気になる方はチェックしてみてください。
スマート農業ってなに?メリットや事例、現状の課題は?

4.新しい農業の形:都市型農業と6次産業化

先進的な農業ビジネスの一環として、「都市型農業」が注目されています。これは、都市部のビルの屋上や空きスペースを使い、野菜や葉物を栽培するという新たな取り組みです。この都市型農業の最大の利点は、農産物の生産と消費が地域で完結するため、新鮮な農産物を提供できること。また、CO2排出量の削減にも貢献します。

さらに、「6次産業化」も農業の未来を拓く新たな動きです。これは、生産(1次)、加工(2次)、販売(3次)を一手に引き受け、付加価値の高い商品を生み出すというビジネスモデルです。6次産業化により、農家自身がブランド作りを行うことで、農産物の価値向上と収益力の強化が期待されます。

これら新しい農業の形は、従来の農業が抱える課題を解決し、さらなる発展を実現する可能性を秘めています。

5.持続可能な農業への転換の必要性

持続可能な農業の実現には、以下の3つの転換が必要となります。

1.積極的な技術導入・情報収集

現代の農業は、AIやIoTなどの最先端技術が使われ、生産効率や収穫量の向上が図られています。これらの技術を活用することで、農作業の負担軽減や収穫予測の精度向上が期待できます。

2.高付加価値化による事業拡大

農産物自体の品質向上だけでなく、加工品や体験型農業などを通じて、農産物の価値を高める試みが求められます。これにより、農業の収益基盤を拡大し、事業の持続性を確保することが可能となります。

3.持続可能な農業の実現に向けた課題と提案

土壌や水資源の保全、環境負荷の低減など環境面でも配慮が必要です。そしてそれを実現するために、政策的な支援や教育、地域社会との連携が重要となります。

以上の転換を図ることで、農業は未来へと繋がる持続可能な産業としての新しい形を見つけることができます。

6.まとめ

本記事を通じて、「農業の未来はない?」という誤解が解消されると幸いです。確かに、伝統的な農業は多くの課題を抱えていますが、それを逆手にとり、新たな可能性を秘めた「新しい農業」へと転換する動きが見られます。

スマート農業やアグリテックという新しいテクノロジーを用いることで、生産効率が向上し、より環境に優しい農業が可能となるでしょう。都市型農業や6次産業化も、新たな価値を生み出すことで、農業の将来性を拓きます。

また、持続可能な農業に向けた取り組みも重要です。地球環境保全と農業の両立を目指し、循環型社会への貢献を視野に入れたビジネスモデルを考えることが求められます。

これからの農業は、単に作物を育て、食べ物を供給するだけのものではなく、社会全体を持続可能な方向へと導く重要な役割を果たします。