農業におけるセンシング技術の活用事例特集!スマートセンシングとリモートセンシングの違いは?

農業におけるセンシング技術の活用事例特集!スマートセンシングとリモートセンシングの違いは? 農業におけるセンシング技術の活用事例特集!スマートセンシングとリモートセンシングの違いは?

2023.12.5

近年、技術の進化とともに農業界にもデジタルトランスフォーメーションの波が訪れています。スマートセンシング技術を始めとする新たな技術が、収益向上や効率化を図るキーワードとして注目を集めている中、多くの農業関係者や研究者が関心を寄せています。
本記事では、農業におけるスマートセンシング技術の基本から、適用方法、そして欠点やリスクについて詳しく解説します。革新的で学習意欲が高いあなたに、これからの農業の新たな方向性を見据えるための情報を提供します。

スマートセンシング技術とは?農業におけるDXの重要性

スマートセンシングとは、センサーを設置して光、温度、衝撃の大きさといった情報を検出し、数値化するセンシング技術の総称です。
近年「IoT (Internet of Things)」として話題の、センシング技術とは、検知器や感知器、測定器などを用いて測定対象の定量的な情報を取得する技術で、リモートセンシングスマートセンシングの大きく2種類に分けられます。
リモートセンシングは、対象物に触れることなく定量的な情報を取得する技術。
一方、スマートセンシングは、対象物の近くにセンサーを設置して計測や検知を行う技術のことを指します。

長年、自然環境の把握は生産者の経験に委ねられてきましたが、センシング技術による「農業DX」「スマート農業」の重要度が高まっています。
というのも、生産者の高齢化が進んだことで省力化が急務となっていること、新規就農者の定着のため栽培技術向上の早期化が求められていること、そして気候変動による経験が活かせられない諸問題の発生していること…など、複数の要因が重なったことで、データ活用による農業の進化・高度化に注目が集まっているのです。

参考記事
【2023年版】スマート農業とは?メリット・デメリットや事例の紹介
農業DX構想とは?具体例や農水省が推進する背景

農業におけるスマートセンシング技術と事例

農業分野におけるスマートセンシング技術の活用例としては、以下のものが代表的です。

  1. 温度センサー
  2. 照度センサー
  3. 湿度センサー
  4. 水分センサー
  5. CO2センサー
  6. pHセンサー
  7. 土壌センサー(ECセンサー)
  8. 糖度・熟度・酸度センサー(分光センサー)

温度や光、水など農産物の育成において重要な要素をセンシングし、ハウス栽培などの自動制御に活用する場合や、肥料濃度を測るECセンサーや酸性度を測るpHセンサーといった土壌内の状態を測定し、施肥に活用する場合など多岐にわたります。

さらには、農作物の状態を測定し、ブランド化ならびに高価格化に活かす場合もあります。
浜松市のブランドみかん「三ヶ日みかん」を生産するJAみっかびでは、光センサーとAIを搭載した選果場が2021年から稼働。糖度・酸度・傷の有無を測定し、人の手を介さずにして美味しさ・品質の担保を実現しています。

参考:自動でミカンを選別!AI選果場は三ヶ日みかんの縁の下の力持ち

参考:リモートセンシング技術と農業

リモートセンシングは、飛行機や衛星を使って地球を遠隔から観測する技術です。光やレーダーで地表を分析し、環境の変化などを検出します。

アメリカのベンチャー企業であるFarmLogs社は、気象データや衛星画像・IoTデバイスといった様々な手段で得られたデータを基にして作物の健康状態や成長具合、土壌の栄養状態から収穫量の予想についてまで、様々なデータを農家に提供するサービスをしています。
スマートセンシングと同様、AI技術と組み合わせることでより高度な解析が可能となり、農作業への示唆となっています。

参考:【農業AIとは?】スマート農業の活用事例と問題点

スマートセンシングを活用した農業の欠点とリスク

農作業の高度化、省力化、さらには技術承継への貢献など、スマートセンシング技術を農業分野に取り入れることで大きなメリットが期待されますが、導入・普及にあたっては以下の課題があります。

スマートセンシングの設備投資コスト

「スマート農業」全般の課題と類似しますが、導入にあたっての設備投資コストは普及にあたっての課題です。
基本的には、センサー機器の初期費用に加え、センサーからの情報を閲覧・管理するクラウド環境へのランニングコストがかかってきます。どのようなセンサーを、どの規模で設置するかによって異なってきますが、数十万円は必要となってくるため、個人農家が気軽に導入できる設備ではありません。

有効なデータ量の確保とデータの統合

また、センサーによって情報を取得しても、データ量が少なければ、有意な傾向なのかただのブレなのかも判断がつかないでしょう。AIによる学習も進みません。
そのため、生産者個人の圃場のデータだけでなく、他の農家のセンシングデータも活用するなどして、有効なデータ量を確保できるような環境が必要です。
加えて、農作物は様々な環境にさらされています。そのため、温度センサーや土壌センサーなど、複数のデータの統合が待たれますが、一層コストがかさむ結果となります。

スマートセンシング技術を活用できる人材不足

さらに難しいのは、最新技術を活用できる人材が農業分野に不足していることが最大の障壁として考えられます。
従来の農作業に慣れた生産者に対し、センシングデータを「翻訳」するような人材が求められています。

センシングデータを活用した新たな技術の開発

スマートセンシング技術により取得できるデータは、それ自体で価値を生むわけではありません。ソフト面では、データの見える化を前提とした上で、どのように活かすべきかの栽培技術への応用が必要です。
また、ハード面では、センシングデータを活用した農業ロボット(自動走行・リモート操作)の開発があってこそ現場実装が進みます。

参考記事
【2023年版】スマート農業とは?メリット・デメリットや事例の紹介

農業の未来とスマートセンシング

政府により、人間中心の未来社会(Society)として「Society5.0」が提唱されています。
それは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立します。
スマートセンシング技術を活用し、農業の高度化・省力化を目指す取り組みは、農業分野におけるSociety5.0の実現の文脈で語られることが多いテーマです。

持続可能な農業の実現のために、スマートセンシング技術で取得できるデータをどのように活用していくかは、農業の未来をつくる重要なテーマといえるでしょう。
実際、技術を活かした優良事例が生まれてきています。

株式会社レグミンが提供するのは農薬散布を自動化する、自動走行ロボット。凸凹な圃場では自動走行は難易度の高いテーマですが特許取得技術を活用しつつ、人体へのリスクもある農薬散布作業の効率化を実現。人手不足・労働力不足の解消につながり、作業時間の削減により、農地の拡大にもつながります。
参考:株式会社レグミン『ロボットによる自動農薬散布』

積水化学工業株式会社の提供する「水まわりゲートくん」は、決めた時間・周期・給水栓開度で自動給水することにより、稲作において多大な労力・時間を必要とする水田水管理を省力化・合理化することが可能です。
スケジュール管理のほかに、水位センサーを用いた上限・下限水位によるゲートの自動開閉ができるセンサー管理も可能ですし、水管理データを蓄積・見える化により技術承継への活用も期待できます。
参考:積水化学工業株式会社 『開水路用多機能型自動給水装置「水まわりゲートくん」』

まとめ

以上、スマートセンシング技術と農業の現在地点と展望をまとめてきました。

スマート農業・アグリテック企業の集積地を目指す深谷市が実施するDEEP VALLEY では、スマート農業技術の実証実験のためのさまざまな機会を提供しております。
例えば、「深谷市アグリテック導入支援事業補助金」を用意し、導入コストの負担を軽減することで、企業様の販促活動ならびに農家の方々のサービス導入を促進。市内におけるスマート農業・アグリテックサービスの浸透しやすい環境を整えております。
(「深谷市アグリテック導入支援事業補助金」については、こちら

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